90°V型4気筒のレイアウトは、ドゥカティが目指すスポーティなモーターサイクル・エンジンの究極の姿です。MotoGPマシンのデスモセディチGPにも、同じレイアウトのエンジンが搭載されているのは、決して偶然ではありません。
さらに詳しく- 159 ps 最高出力
- 13.1 kgm 最大トルク
- 218 kg 乾燥重量
ユーロ5規制に適合したエンジン
2021年モデルより、ドゥカティ・ストリートファイターV4シリーズの全モデルは、ユーロ5規制に適合します。規制への適合にあたっては、最高出力と最大トルクは従来と同じに維持しながら、出力やトルクを発生する回転数が調整されています。
ストリートファイターV4 ユーロ5の最高出力は、208ps(153kW)@13,000rpm(ユーロ4バージョンより250rpm高回転)、最大トルクは12.5kgm(123Nm)@9,500rpm(ユーロ4バージョンより2,000rpm低回転)です。新しいキャリブレーションと新しいエグゾーストによって達成されたこれらの数値により、ワインディングロードでの走りがさらに楽しくなっています。
サイレンサーは、その美しいデザインを変更することなく、より大型の触媒(長さ:+10mm)を採用し、排出ガスを変換する能力を最大化するために不可欠な、貴金属の含浸に関する新しいテクノロジーを備えています。
ユーロ4モデルと比較して、リアバンクのマニホールドは100mm短縮され、直径が42mmから38mmに縮小されています。新しいコンポーネントにより、モーターサイクルのボディに一体化された、よりコンパクトなリア・ヒート・シールドを採用することが可能になりました。
エミッションを削減するため、各シリンダーに1つずつ、合計4つのO2センサーを装着しました。これにより、燃料噴射量を、より精密に制御することができます。
MotoGP由来のエンジン
デスモセディチ・ストラダーレは、MotoGPマシンに搭載されているV型4気筒エンジンのシリンダー・ヘッドを中心に設計されました。
このパワーユニットは、デスモセディチGP用エンジンの寸法とジオメトリーを踏襲し、卓越したフルード・ダイナミクスを実現しています。さらに、デスモセディチGPと同じエンジン型式(90°V型4気筒)を採用し、42°後方に傾けられています。このソリューションによって、このエンジンは非常にコンパクトに仕上がり、マスを集中化させて、シャシと完璧に一体化することが可能になりました。
81mmボアのエンジンはDesmosedici GPに採用されてるものと同様であると共に、MotoGPのレギュレーションで許可されている最大サイズでもあります。また、競合する4気筒スーパースポーツのなかでも最大のサイズを誇ります。53.5mmのストロークは、Desmosedici GPエンジンに比べて長く、公道走行時により高いトルクを伝達しエンジン回転速度を低くするために設計されています。デスモセディチGPと同じボアを採用することによって、パワーを生み出すためのあらゆる流体力学(バルブ、インテーク・パイプ、スロットル・ボディを通過するエアの流れ)が、MotoGPマシンのエンジンと非常に近いものになっています。
90°V型4気筒のレイアウトは、エンジンを非常にコンパクトに設計して、マスを集中化させ、モーターサイクルとエンジンをより良く統合させることが可能になります。デスモセディチ・ストラダーレは、MotoGPマシンと同じように、フロント・シリンダーを42°後方に傾けてシャシに搭載されています。これにより、重量配分が最適化され、ラジエーター面積を拡大して、スイングアームのピボットを前方に移動させることが可能になりました。
90°V型4気筒エンジンでは、バランサーシャフトを使用しなくても一次振動を相殺することができるため、シャフトを装着することによる重量増やパワーの損失を避けることができます。
90°V型4気筒のレイアウトは、ドゥカティが目指すスポーティなモーターサイクル・エンジンの究極の姿です。MotoGPマシンのデスモセディチGPにも、同じレイアウトのエンジンが搭載されているのは、決して偶然ではありません。
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90°V型4気筒のレイアウトは、ドゥカティが目指すスポーティなモーターサイクル・エンジンの究極の姿です。MotoGPマシンのデスモセディチGPにも、同じレイアウトのエンジンが搭載されているのは、決して偶然ではありません。90°V型4気筒のレイアウトでは、バランサーシャフトを使用しなくても一次振動を相殺することができるため、シャフトを装着することによる重量増やパワーの損失を避けることができます。
エンジンの信頼性と機械効率にとって非常に重要なこの第一の利点に加え、ドゥカティが誇る他のハイテク技術を組み合わせることによって、デスモセディチ・ストラダーレは非常に洗練されたユニットに仕上がっています。その最高回転数は、14,000rpm以上に達します。
一般的な直列4気筒エンジンと比較して、V型エンジンは横幅をコンパクトに設計できるため、マスを集中化させて、フロントエンドの重量を削減することが可能になります。さらに、クランクシャフトの長さも短いため、ジャイロスコープ効果もより小さくなります。これらすべての要素が、運動性能にプラスの効果をもたらし、コーナーで車体を切り返すときの、より軽く俊敏な挙動を生み出しています。
さらに詳しくエンジンとシャシを最適に統合することは、すべてのドゥカティ製モーターサイクルに共通する基本的なコンセプトです。そのため、デスモセディチ・ストラダーレは、MotoGPマシンと同じように、フロント・シリンダーを42°後方に傾けてシャシに搭載されています。これにより、重量配分が最適化され、ラジエーター面積を拡大して、スイングアームのピボットを可能な限り前方に移動させることが可能になります。
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エンジンとシャシを最適に統合することは、すべてのドゥカティ製モーターサイクルに共通する基本的なコンセプトです。そのため、デスモセディチ・ストラダーレは、MotoGPマシンと同じように、フロント・シリンダーを42°後方に傾けてシャシに搭載されています。これにより、重量配分が最適化され、ラジエーター面積を拡大して、スイングアームのピボットを可能な限り前方に移動させることが可能になります。
デスモセディチ・ストラダーレは、フレームの構造部材の一部として機能するように設計されています。メインフレームへの接続ポイントには、アッパー・ケーシングのフロント部と、リアバンクのシリンダーヘッド部が追加されました。エンジンブロックは、リアサスペンションとスイングアームの接続部としても機能します。
すべてのドゥカティ製エンジンと同様、デスモドロミック・システムは、デスモセディチ・ストラダーレが最高のパフォーマンスを発生するための重要な要素となっています。デスモセディチ・ストラダーレのデスモドロミック・システムは、設計を完全に見直してコンポーネントを小型化することによって非常にコンパクトなヘッドを実現し、これまでにないレベルの洗練性と軽量化を実現しています。
一般的なモーターサイクルの場合、クランクシャフトとホイールの回転方向は同一です。しかし、MotoGPの場合、ホイールと逆方向に回転するカウンター・ローテーティング・クランクシャフトが広く使用されています。ドゥカティのエンジン・スペシャリストは、モータースポーツの世界に適用したのと同じ理由で、このレーシングマシンのテクニカル・ソリューションを採用しました。実際、このソリューションには、物理における2つの側面に関連する利点があります。それらは、ジャイロ効果と慣性です。
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一般的なモーターサイクルの場合、クランクシャフトとホイールの回転方向は同一です。しかし、MotoGPの場合、ホイールと逆方向に回転するカウンター・ローテーティング・クランクシャフトが広く使用されています。ドゥカティのエンジン・スペシャリストは、モータースポーツの世界に適用したのと同じ理由で、このレーシングマシンのテクニカル・ソリューションを採用しました。実際、このソリューションには、物理における2つの側面に関連する利点があります。それらは、ジャイロ効果と慣性です。カウンター・ローテーティング・クランクシャフトは、走行中にホイールによって生じるジャイロ効果の一部を打ち消すことによって、ハンドリングおよびコーナーの切り返しにおける俊敏性が向上しています。
2番目のメリットは、車体および回転するエンジン部品の慣性(すなわち、物体があらゆる状態変化に対抗する挙動)に関係しています。加速中、路面に伝達された駆動トルクは車体を前方に押し出すことによって、ウィリーの傾向が発生します。慣性の法則により、カウンター・ローテーティング・クランクシャフトは反対方向のトルクを発生し、フロントホイールを下げてウィリーの傾向を抑制するため、加速時に有利に働きます。
同様に、制動中または急制動時には、リアホイールがリフトアップする傾向が発生しますが、クランクシャフトも減速するため(エンジン回転数が低下)、リアホイールのリフトアップに対抗する反対方向の慣性トルクが生み出されます。その結果、カウンター・ローテーティング・クランクシャフトは、加速時と制動時の両方で、プラスの効果が得られます。
当然のことながら、このレイアウトを実現するためには、クランクシャフトの回転を進行方向と同じ方向に変換する必要があります。そのため、アイドルホイールと呼ばれる追加の歯車が装着されています。
70°のクランクピン・オフセットと90°のVバンク角により、あたかも2気筒ユニットのような点火シーケンスが生み出されています。ドゥカティでは、この独特な点火順序を“ツインパルス”と呼んでいます。この点火シーケンスの特徴は、左側の2気筒が短い間隔で点火し、同様に、右側の2気筒も短い間隔で点火するという点です。タイミングチャートにおける点火ポイントは、0°、90°、290°、380°となります。そのため、このエンジンは、MotoGPのデスモセディチを彷彿とさせるV4サウンドを奏でます。
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70°のクランクピン・オフセットと90°のVバンク角により、あたかも2気筒ユニットのような点火シーケンスが生み出されています。ドゥカティでは、この独特な点火順序を“ツインパルス”と呼んでいます。この点火シーケンスの特徴は、左側の2気筒が短い間隔で点火し、同様に、右側の2気筒も短い間隔で点火するという点です。タイミングチャートにおける点火ポイントは、0°、90°、290°、380°となります。そのため、このエンジンは、MotoGPのデスモセディチを彷彿とさせるV4サウンドを奏でます。
フロントバンクのジェネレーター側の第1シリンダーが0°のタイミングで着火すると、その直後の90°のサイクルで、同じ側のリアバンクのシリンダーが着火します。その後、しばらくインターバルが空いて、駆動トルクが発生しない状態が続いてから、クラッチ側の2つのシリンダーが90°のサイクルで着火します。
“ツインパルス”の点火順序による重要な利点は、ドゥカティスタを魅了する独特なエグゾースト・サウンドだけでなく、ドゥカティMotoGPライダーに最高と評価されたパワー特性を実現していることです。この特性は、とくにコーナリング時およびコーナーからの脱出時に、ライダビリティの面で大きなアドバンテージをもたらします。
MotoGPエンジンと同様、デスモセディチ・ストラダーレにもセミ・ドライサンプ・システムが装着されています。これにより、いかなる状況であっても、すべての稼動パーツに対して効率的なオイルの供給と回収が行われます。
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MotoGPエンジンと同様、デスモセディチ・ストラダーレにもセミ・ドライサンプ・システムが装着されています。これにより、いかなる状況であっても、すべての稼動パーツに対して効率的なオイルの供給と回収が行われます。
チェーンで駆動されるオイルポンプは4つのステージで構成されています。1つはオイルの供給用のローブポンプで、3つは回収用です。回収用の1つのギア付ポンプは、2つのダクトを介してシリンダーヘッドからオイルを引き抜きます。他の2つのローブポンプは、ピストン下のクランクケースを一定の真空状態に保ちながら、あらゆる作動状況で効果的にオイルを回収します。これにより、一般的な潤滑システムで発生する空気抵抗によるパワーの吸収や、コネクティングロッド・ケース内のオイルが波打つことによって引き起こされるパワーロスを抑制します。
フィルターハウジングとしての役割も備えているオイルタンクは、クランクケースの下に取り付けられ、ギアボックスに接続されたマグネシウム製のサンプ内に設置されていますが、クランクケースとは隔離されています。オイルの冷却には、ウォータークーラーの下に固定された専用のラジエーターを使用します。
エア・インテークには、長さ70mmの固定式インテーク・ファンネルに接続された4つの楕円スロットルボディ(直径52mm相当)が設置されています。各スロットル・ボディには、2本のインジェクターが組み込まれており、低負荷域ではスロットル・バタフライに近い方のインジェクターが機能します。その一方で、最大のパフォーマンスが要求される領域では、その上に設置されているもう一つのインジェクターが作動します。各シリンダーバンクのスロットル・ボディは、それぞれ専用の電気モーターで駆動されます。
この可変吸気システムは、フル・ライド・バイ・ワイヤ・システムによって複雑な制御ストラテジーを完璧に実行し、選択されたライディング・モードに応じたエンジン“フィール”の変更を可能にしています。
都会における快適性を向上させるために、水温が75℃を超えると、アイドリング時にリア・シリンダーバンクの作動が休止します。
長いメンテナンス・インターバル
デスモセディチ・ストラダーレのバルブ・クリアランス調整(デスモ・サービス)は24,000km毎に、通常のメンテナンス間隔は12,000km/12か月毎に設定されています。
数多くのエンジニアリングとテクノロジーが、この公道最強を目指したストリート・バイクのために考案されました。ストリートファイターV4の“Fight Formula”(戦うための方程式)は、個性的なライン、驚異的なパワー、最先端のテクノロジーとコンポーネントを巧みにバランスさせています。