- 110 ps 最高出力
- 9.4 kgm 最大トルク
- 210 kg 装備重量(燃料を除く)
――勝利から学んだことはありますか?
勝利から最初に学ぶのは、「一度勝っただけでは決して満足できない」ということです。そこで終わりにはなりません。その感覚を一度味わうと、また味わいたくなる。そして何度でも繰り返し味わいたくなるのです。不思議なことに、それまでは2位や3位でも十分に良い結果だと感じていたはずなのに、一度勝利を経験すると、その同じ結果が以前ほど特別なものには思えなくなります。すべてが終わりのない追求へと変わり、自分がすでに手にしたはずのものを再び求め続けるようになります。けれど、その目標は達成するたびに、なぜかさらに遠くへと離れていくように感じるのです。まるで、一つの節目を越えるたびに次のハードルがさらに高くなるかのようです。
勝利は、自分の仕事に対する見方そのものも変えます。ただ競うためにレースをしているのではなく、「勝つためにレースをしている」のだと気づくのです。そして、その意識は人を変えていきます。それは前へ進む力になりますが、同時に勝利に伴うすべてのものを背負うことも意味します。プレッシャー、周囲の期待、そして自分ができると証明したことをもう一度証明しなければならないという責任です。それは本当に素晴らしいことです。しかし同時に、とても大きな緊張感を伴うものでもあります。
――では、より苦しい瞬間についてはどうでしょうか? 再び這い上がらなければならなかった時や、落胆するようなクラッシュを経験した時、そこから何を学びましたか?
クラッシュは、正直なところ学びたくないほど多くのことを教えてくれます。自分の限界と向き合い、自分自身を分析することを余儀なくされるからです。それは単なる技術的な問題ではありません。ライン取りやグリップ、ブレーキングだけの話ではなく、精神的な側面も大きく関わっています。大切なのは、ミスから目を背けず、その事実と向き合うことを学ぶことです。なぜなら、本当にその失敗と向き合えば、なぜそれが起きたのか、そして次に同じ状況になった時にどうすれば避けられるのかが見えてくるからです。
私自身、クラッシュするたびに何かを得てきました。たとえそれが少しの気づきや、より鋭い感覚であったとしてもです。数か月後に同じような状況に直面した時、その経験の記憶が正しい判断を下す助けになります。本当の成長は、まさにそうしたところから生まれるのだと思います。勝利はあなたを人々の目に映し出してくれます。しかし、人を形づくるのは敗北です。そして敗北は、その苦しさとは裏腹に、次に訪れるチャンスに向けてあなたを準備してくれるのです。
――あなたの性格は、スポーツへの向き合い方にどれほど影響していますか? そして反対に、バイクレースによって自分自身が変わってきていると感じますか?
私の性格は、とても大きく影響していると思います。私は物事に深く関わり、理解し、自分で把握していたいタイプです。一方で、かなり率直な性格でもあります。ただ、常にそのままでいられるわけではありません。時には一歩引き、言葉を慎重に選び、不必要な議論を避けなければならない場面もあります。言いたいことがないからではなく、それを言うべきタイミングや場所ではないからです。
本当はもっと透明で、もっとオープンに自分を表現したいと思うこともあります。けれど、時にはフィルターが必要だということも分かっています。それもこの世界の一部です。そして、バイクレースはそのことを教えてくれます。難しい状況に向き合い、素早く反応し、感情に流されてミスをしないこと。そうした力を、レースは求めてきます。
このスポーツは、自分の中にある最良の姿を引き出してくれていると思います。集中力、決意、そして忍耐を磨いてくれる。自分でも分からない別人に変えられているとは思いませんが、確実に、より早く成熟する手助けをしてくれています。そして、もしある日、自分が好きではない人間になりつつあると気づいたなら、その時こそ立ち止まり、すべてを見つめ直すべき時なのだと思います。
――毎シーズン、新たなプレッシャーがサーキットの内外で生まれます。あなたにとって最も重要な個人的な挑戦とは何ですか? また、自分自身のどの部分を最も成長させたいと考えていますか?
私にとっての個人的な挑戦は、とても明確です。それは、昨シーズンに犯したミスから本当に学べたことを、自分自身に証明することです。誰かに証明したいわけではありません。とても個人的なことです。昨日の自分にはなかった何かを、今日の自分が持っていると実感したい。たとえそれが小さな成長や些細な変化であったとしても、自分が前に進んでいることを確かめたいのです。
そして、その先には日々の積み重ねがあります。私は、もっと完成度の高いライダーになりたいと思っています。レースマネジメント、安定感、そして勝負どころでの判断力をさらに磨きたい。完璧を追い求めているわけではありません。求めているのは、より揺るぎない強さです。本当の勝利は、そうした積み重ねの中から生まれます。小さな改善の積み重ね、正しい判断の積み重ね、クラッシュから得た教訓、そして勝利に慢心しない姿勢。そのすべてが、勝利の土台を築いていくのです。
それが私の目標です。そして、そのためなら毎日でも努力を続ける覚悟があります。
――あなたのレーシングスーツには「Go Free」と書かれています。なぜその言葉を選んだのでしょうか? その意味は、時間とともに変わってきましたか?
Go Freeは、もう何年も私とともにある言葉です。最初は、考えすぎず、澄んだ軽やかな心でレースに臨むための、自分へのシンプルなリマインダーでした。けれど時間が経つにつれて、その言葉はずっと大きな意味を持つようになりました。今の私にとって、それは自分自身に正直であり続けるための言葉です。プレッシャーが増し、周囲の環境が複雑になり、すべてが自分に「別の誰か」になることを求めてくるように感じる時でも、本当の自分を見失わないためのものです。
それは、自分の本能や感覚を信じるということでもあります。そして同時に、その瞬間を楽しむことでもあります。私たちのスポーツでは、その大切さを忘れてしまいそうになることがあります。バイクに乗っていて、すべてがあるべき流れの中にあると感じられる時、自分がその道を進めているのだと分かります。
それが、私にとってのGo Freeです。意識を持ちながら、解き放つこと。そして何よりもまず、自分自身に対して誠実であり続ける道を見つけることです。
――スポーツの歴史の中でも類を見ない、並外れたキャリアを歩んできました。今のあなたが、自分の性格の中で「限界」だと感じる部分はありますか? さらに前へ進むために、まだ解きほぐす必要がある課題はありますか?
ええ、誰にでも人生を通して変わらず持ち続ける性格というものがあると思います。私の場合、昔からとても強い意志と率直な性格を持っていました。子どもの頃から、とにかく勝ちたかった。いつだってそうでした。公式レースであろうと、友人とのトレーニングであろうと関係ありません。常に全力を尽くし、毎回限界まで攻めたいと思っていました。そして、その考え方はキャリアを築くうえで大きな力になりました。あのハングリーさ、リスクを恐れず限界を超えようとする意志がなければ、今の自分のレベルには到達できなかったと思います。
ただ、年月を重ね、経験を積み、そして困難な時期――特に怪我を経験したことで、一つのことに気づきました。常に全力を出すことが、必ずしも最善の選択ではないということです。20歳の頃なら、そんなことは考えません。転倒してもまた立ち上がればいい。しかし30歳になると、少し違った視点で物事を見るようになります。リスクを管理することも、この世界では重要な技術の一つだと理解するようになるのです。
待つべき時を知ること。状況を見極めること。自分の身体や心の声に耳を傾けること。それは自分自身を変えることではありません。自分の持つ個性を、より良い形で使うことを学ぶということです。私の性格が弱くなったわけではありません。むしろ、より明確になり、よりコントロールできるようになったと思います。以前の私は、燃え続ける炎そのものでした。今は、その炎をどう扱えばいいのかを知っています。過去に対する後悔はありません。なぜなら、あらゆる失敗や行き過ぎた挑戦が、何かを教えてくれたからです。それでも今、振り返ってみると、物事の尺度を持つことや、正しいタイミングを選ぶことを学べた自分を嬉しく思います。
その気づきこそが、ライダーとしても、一人の人間としても、私が経験してきた最も大きな成長の一つなのかもしれません。
――ポーカーフェイス。あなたはどんなに厳しい状況でも、いつも笑顔でエネルギッシュに向き合っているように見えます。それは意識して作り上げているものですか? それとも、単にあなた自身の性格なのでしょうか?
私は昔からこういう性格だったのだと思います。どんなに困難な状況でも、前向きな姿勢で向き合うことが自然にできるのです。その考え方は、自分自身を良い状態に保ってくれますし、期待やプレッシャー、挫折に押しつぶされないための助けにもなっています。もちろん、それは現実を見ていないという意味ではありません。苦しみや敗北、恐怖やフラストレーションがどんなものかも知っています。それでも私は、本当にどんな一日にも価値があると信じています。たとえ最悪の日だったとしても、そこには何かしら得るものがある。少なくとも、もう一度やり直す機会は残されています。
物事がうまくいかない時――悪いレースをした時、身体の問題を抱えた時、受け入れがたい決断をしなければならない時――私がまずするのは、一度立ち止まって深呼吸をし、状況を俯瞰して見ることです。時には、一晩しっかり眠るだけで見え方がまったく変わることもあります。あるいは、自分がなぜこれをやっているのかを思い出すだけで十分なこともあります。
バイクレースは私の人生において非常に大切な存在ですが、人生のすべてではありません。そう考えられるようになると、挫折に振り回されることも少なくなります。笑顔そのものが現実を変えるわけではありません。しかし、現実との向き合い方を変えてくれるのです。
――「Todo al Rojo」。それは単なる色の偶然なのでしょうか? それとも、あなたの性格やアイデンティティ、エネルギーと、ドゥカティのスピリットとの間には、それ以上のつながりがあると感じていますか?
私にとって、赤は昔から特別な色でした。理屈ではうまく説明できませんが、子どもの頃から、この色には何か特別な感情を呼び起こされてきました。赤はスピード、激しさ、そして情熱の色です。目にした瞬間に人の視線を引きつけ、決して見過ごされることがありません。
ドゥカティとの出会いでは、そのつながりがとても自然なものに感じられました。真っ赤なガレージに足を踏み入れ、赤いマシンにまたがり、その空気を吸い込む。そんな瞬間に、「もしかすると、自分はずっとこのために導かれてきたのかもしれない」と感じることがあります。しかし、そのつながりは見た目だけのものではありません。ドゥカティの赤は、一つのマインドセットでもあります。強い情熱と激しさを持ってレースに向き合う姿勢そのものです。それは単なる色ではなく、アイデンティティです。あらゆることに魂を注ぎ込む文化、その精神を象徴しているのだと思います。
――ホンダのファクトリーチームで長年エースライダーとして戦った後、昨シーズンはサテライトチームで過ごしました。その視点の変化は、あなたにとって良い経験になりましたか? また、大規模なファクトリーチームにいたままでは決して理解できなかったと思うことを学びましたか?
ええ、間違いなくそうです。それはプロフェッショナルとしてだけでなく、一人の人間としても私を成長させてくれた経験でした。
長年ファクトリーチームに所属していると、とくにホンダのような巨大な組織の中では、ある種の基準に慣れてしまいます。すべてが完璧に整えられ、すべてが組織化され、すべてが管理されている。当然、それには多くの利点があります。ただ、その一方で、時としてこのスポーツの本質とのつながりを少し失ってしまうこともあります。
グレシーニのようなサテライトチームに加わったことは、私にとって原点への回帰でした。そこには家族のような雰囲気があり、より率直に意見を交わせる環境がありました。一人ひとりの存在が大切にされ、子どもの頃にレースへ夢中になった理由を思い出させてくれるような、純粋な情熱を感じられるガレージでした。
決して無限のリソースを持つチームではありません。しかし、とてつもなく大きな心を持ったチームです。そして、その空気感は多くのものを与えてくれます。再び挑戦心を呼び起こし、もう一度ハングリーな気持ちにさせてくれるのです。私は毎日のようにナディア・パドヴァーニと話し、すべてのレースを「本物の何か」の一員として戦っている感覚で過ごしていました。
そして皮肉なことに、その経験こそが次のステップへ進むための準備になりました。まるで、その時間がなければ、途中で見失ってしまった自分自身の一部を取り戻すことはできなかったかのように感じています。
だからこそ、この経験は決して忘れることができません。
――ドゥカティに対して抱いていた先入観やイメージで、実際に加わってみたら違っていたものはありましたか?
先入観というよりは、むしろ好奇心でした。外から見たドゥカティには、どこか神秘的な印象があります。成功、技術革新、そして数々の勝利を目にするたびに、「彼らはどうやってそれを実現しているのだろう?」と考えてしまうのです。まるで、チームの一員にならなければ理解できない特別な秘訣があるかのように思えていました。
しかし実際に中に入ってみると、そこに秘密などありませんでした。あるのは、ただひたすら質の高い仕事です。そして、自分たちの仕事を心から信じている人々の存在です。
私が最も感銘を受けたのは、一体感でした。ドゥカティは決して巨大な組織ではありません。しかし、まるで高度な専門技術を持つ職人たちの集団のように感じられます。
誰もが自分の役割を正確に理解し、それを情熱を持って果たしています。そして全員がしっかりとつながっている。部署や役職の間に壁はありません。そこには毎日のように感じられる、本物のチームスピリットがあります。そして、その結束力こそが、とりわけ困難な局面で大きな違いを生み出すのです。
外から見れば、ドゥカティのような成功したブランドは冷たく、距離のある存在だと思うかもしれません。けれど実際は、その正反対です。温かく、迎え入れてくれて、とても人間味がある。
そして、その誠実さこそが結果にも表れているのだと思います。なぜなら、そのような環境で働いていると、単に勝つためだけにレースをしているわけではなくなるからです。一つの理念を、一つの文化を、そして一つの生き方を体現するために戦っている。
私にとって、それこそが何よりも美しいことなのです。